事故で治療を受けたけれど、後遺障害が残ってしまった場合には、自賠責保険の後遺障害等級認定を受ける必要があります。
その際は、弁護士に相談し、そのサポートを受けることで、より高い等級の、被害者に有利な等級認定を勝ち取ることができる場合があります。
ここでは、より高い後遺障害等級認定を受けることの重要性と、そのために交通事故に強い弁護士のサポートを受ける必要性、当事務所のサポート例をご説明します。
後遺障害等級は賠償額を大きく左右する
具体例でご説明しましょう。
例えば、交通事故で、片方の手首の関節を動かせる範囲が狭くなってしまう「運動障害」が残る場合があります。
この場合は、次のいずれかの後遺障害等級に認定される可能性があります。
等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料 | 労働能力喪失率 | |
---|---|---|---|---|
自賠責基準 | 裁判所基準 | |||
10級10号 | 1上肢の三大関節の中の1関節の機能に著しい障害を残すもの | 187万円 | 550万円 | 27% |
12級6号 | 1上肢の三大関節の中の1関節の機能に障害を残すもの | 93万円 | 290万円 | 14% |
このように、後遺障害慰謝料(裁判所基準)だけでも、10級か12級かで、260万円もの差がついてしまいます。
労働能力喪失率も10級か12級かで、27%か14%かという違いがあり、これは逸失利益の金額に大きく影響します。具体例を計算してみましょう。
例:年収500万円 35歳(就労可能年数32年間)ライプニッツ係数15.803
等級 | 計算式 | 逸失利益 |
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10級 | 500万円×27%×15.803= | 2133万4050円 |
12級 | 500万円×14%×15.803= | 1106万2100円 |
この例では、逸失利益は1000万円以上の差が生じてしまいます。等級の違いがいかに大きく影響するかがわかります。
では、同じく片方の手首の運動障害で、10級と12級を分けるものは何でしょうか?
それは手首の「可動域の角度」、平たく言えば、手首を曲げることができる範囲がどれくらいかによるのです。
屈曲(手首を下へ曲げる運動)と伸展(手首を上へ曲げる運動)の二つの運動で、障害のある手首関節を曲げられる角度と、障害のない健康な手(「健側」と言います)の手首関節を曲げられる角度とを比較します。
そして、10級か12級かは、次の「認定基準」で判定されます。
手首関節の機能障害の認定基準 | |
---|---|
10級 | 健側の可動域(角度)の2分の1以下の場合 |
12級 | 健側の可動域(角度)の4分の3以下の場合 |
例えば、健康な手首が屈曲80度、伸展70度のときは、合計150度が健側の可動域(角度)です。
これに対し、障害の手首の屈曲と伸展の合計値が150度の2分の1である75度以下の場合は10級、4分の3である112.5度以下の場合は12級となります。
したがって、手首の曲がる角度の大小で、損害賠償金が、1000万円単位で異なってくる可能性があるわけです。
では、この角度はどのようにして判定するのでしょう。
それは、担当医師が、自らの手を被害者の手に添え、動かしてみて測定するのです(これを「他動運動」での測定といいます)。
もちろん、測定の方法は定められた要領があります(日本整形外科学会ほか「関節可動域表示ならびに測定法」)。
しかし、測定する医師の経験、技量、その時々の力加減によって、測定値が変わってくることがあり、それが損害賠償額を左右しているのです。
関節の後遺障害での当事務所のサポート例
このように関節の可動域測定が後遺障害等級、ひいては損害賠償額に影響するケースでは、その測定を担当医師まかせにすると、ときに適正でない測定結果となり、被害者が大きな損失を被る場合があります。
当事務所の過去の例では、測定結果に不満を持つ被害者に弁護士が同行して病院を訪ね、再検査をお願いし、弁護士も立ち会いながら測定を実施した結果、正しい測定値を得ることができ、損害保険料率算出機構の審査にも認められて、より高い後遺障害等級を勝ち取った実績があります。
このように、交通事故の後遺障害では、適切な後遺障害等級の認定を受けるために、交通事故事件に精通した弁護士からのサポートを受けることがとても重要なのです。
当事務所のサポート内容
上は、当事務所が実施するサポートの一例に過ぎません。他にも、当事務所では、適正な後遺障害等級を得るための様々な被害者支援を行っています。
(1)通院指導
例えば、むち打ち症の痛みが交通事故による後遺障害と認められるには、症状の一貫性、連続性が必要であり、事故から時間が経ってから病院に行ったり、治療を中断したり、治療の途中から当初はなかったはずの症状で通院したりすると、通常の治療経過と異なった医学的に説明のつかない症状と判断され、後遺障害に該当しないとされる危険があります。
そのような不利益を受けないように、当事務所では、通院の仕方についても、的確なアドバイスを差し上げています。
(2)後遺障害診断書の記載内容を指導
等級認定は書面審査であり、とりわけ担当医師が作成する後遺障害診断書は重視される審査資料です。
例えば、体の痛みの症状であれば、具体的にどのような痛みで、実際、仕事、学業、家事、日常生活のどのような場面で支障を生じているのかを、きちんを医師に訴えて、これを記載してもらう必要があります。
主婦であれば、「痛くてフライパンが持てず料理ができない」と記載してもらうのです。
介護施設にお勤めであれば、「痛くて、(重要な職務である)寝たきりの入所者の体位交換(寝返り)をすることができない」と記載してもらうのです。
当事務所では、被害者から直接にこのような被害状況を聞き取ったうえで、それを後遺障害診断書に記載してもらうようアドバイスを行っています。
(3)高次脳機能障害を発見
交通事故で脳に衝撃を受け、神経ネットワークが断絶してしまい、温和な人が粗暴な人格に変わってしまうなどの高次脳機能障害が生じることがあります。
もとより被害者本人には症状の自覚はありませんし、事故後、生死をさまよう昏睡状態が続いた後に生じるため、生還できた喜びから、周囲の人もなかなか症状に気づかない場合があります。
しかし、高次脳機能障害のケースを扱った実績のある弁護士であれば、被害者の症状に気づくこともできます。
当事務所が実際に扱った事例では、暴れて逮捕されてしまった方の刑事弁護を担当したところ、実は交通事故の被害者で、事故後から粗暴になったことがわかったという例があります。
すぐに高次脳機能障害の可能性に気づいた弁護士が、ご家族に助言して、事故前と事故後でどのように人格が変わってしまったかなどの陳述書を作成し、無事に高次脳機能障害での後遺障害等級を獲得しました。
このように後遺障害の問題では、担当する弁護士の経験、医学的知識の豊富さによって、結果が左右されるのです。
後遺障害等級は当事務所にお任せください
当事務所が後遺障害問題に強いのは、次の理由があるからです。
- 交通事故事件の豊富な経験と実績があります。
- 死亡事故、植物状態などの重大事件も数多い経験があります。
- 後遺障害等級獲得などに必須の医学的専門知識があります。
- 10人以上の弁護士がチーム体制を組み、的確な見通しのもとで事件にあたります。
後遺障害等級の問題は、是非、当事務所にご相談ください。